自己分析、嫌いな奴と、抱きたい女
自己分析してみよう。
自分がどうなのかと分析するより、どういう人が嫌いでどういう人が好きなのかを考えたほうがいい。なぜなら自我というのは幻想的だから。
まず、嫌いなやつ。具体的にいうとあいつだ。Tだ。あいつのことは大っ嫌い。なぜかというと、そいつが俺に悪い態度を取るとか意地悪するとかそういうことではない。むしろおとなしめのやつだ。
おれは毎日のようにこいつを思い出してしまうほど嫌いだが、その理由は意外なことのようだ。それは、そいつが俺に似ているからだ。
不器用だけど、ちょっとモテようとしている。そしてこいつは、たいして努力せず、金でいい地位を取り、物静かに八方美人で何も自分から積極的な仕事をしない。こういう計算高くて、面白くない男が嫌い。
でも、なぜそんな憎い?それは、実はそれが自分に似ているからだ。おれは比較的面白いほうだが、そこまでおもいっきりできなかったり、またリスクを取っているようであまりとっていない。そいつの悪いところは全部自分にも当てはまる。
気さくに人に話しかけ、笑いでつつみこみ、おおらかな人間になりたい。これは誰もが望むことだろう。
これができない度に自己嫌悪するが、それは他人のうちにそれを見ることでも起こる。まさにそのTは俺が気に食わないこと、自分の嫌いなところを体現している。
楽して高いポジションを得ている
それに見合った仕事をしていない
高いポジションのくせにリーダーシップを全く発揮していない
八方美人
全然おもしろくない
そのくせ女好きで、周りに人いるときはいいかっこする
でも一対一だと謙虚
くそだろ。
なんだこいつ。
死ね。
という俺もそんな感じだよ。
もっとでっかくいこうよ。
どーんといこうよ。
抱きたい女?
そりゃ今の彼女だよ。
大好きだよ。
そんなモデルみたいだったり社交的だったり、人脈もってたり、家族が華やかだとか、資産もっているとかどうでもいい。
おれとしかるべきタイミングで出会って気があって付き合ってきた。いろいろ共に経験した。時代も共有した。そんな彼女だ。